肥後 佐敷城

お城のデータ
所在地：	熊本県葦北郡芦北町佐敷字下町
遺　構：	曲輪、石垣、堀切
形　式：	山城	築城者：	佐敷氏	築城年代：	南北朝時代

見　ど　こ　ろ

（ 搦 手 門 ） （ ��矢掛の本丸西側の石垣 ） （ 本丸東門の枡形 ） 　ＪＲ佐敷駅東側にある山を見上げると、山頂部に石垣が累々と築かれているのが見える。これが佐敷城。城跡へは城山の東側（駅から見ると山の裏側）佐敷中学校側から山頂まで登山道があり、城跡まで車で登ることが出来る。 　山頂部は、本丸からは360度のパノラマが開けて絶景。綺麗に木々が切り払われ石垣群が見事に復元されている。以前訪れた時、復元工事で破城され残った築城当時の石垣の上に真新しい石垣が積まれ、少々違和感を覚えた。しかし、20数年もの月日が流れると、新旧の区別もつかないほど馴染んで往時の姿を見るようだ。 　佐敷城は、かつては佐敷湾に半島状に突き出した丘陵の先端部を利用して築かれ、現在はJR佐敷駅のある城山西側は干拓され陸続きとなっている。東側から馬蹄形に大きく屈曲して流れる佐敷川は、佐敷城の天然の堀となっている。 　佐敷城は、城山の先端部最高所に本丸を置き、南に尾根筋に二の丸・三の丸と梯郭式曲輪が配置され、更にその外側に犬走り程度の帯曲輪が周囲に巡らされ、本丸北側の北東へ伸びる尾根に東出丸、北西へ伸びる尾根には西出丸が設けられる。 　総石垣造りの佐敷城はどの曲輪も見応えがあるが、東側の居館(現在の芦北町社会教育センター・図書館敷地あたり)からの大手筋に対して開かれた追手門・二の丸東門、本丸東門の内桝形虎口の遺構は特に見応えがあった。また、搦手門から本丸西門へのルートは距離的には短いが屈折した石段のルートとなって、城好きにはたまらない遺構だと思う。

歴　　　　　史

（ 二の丸東門の枡形 ） （ 二の丸東側の破城された石垣 ） （ 二の丸西門と石段 ） （ 追手門の枡形と石段 ） 　佐敷城は、明確な築城年代は定かでないが天正16年以降に加藤清正によって築かれた。天正16年に肥後半国の領主となった加藤清正が、薩摩の島津氏・人吉の相良氏への備えとした新城築城で、加藤重次を城代とした。 　南北朝時代に佐敷氏が築いた佐敷城があった。北朝方の今川了俊が八代・天草の南朝方を肥前と薩摩から南北に挟んで攻略する重要拠点となっている。 　戦国時代なると人吉城の相良氏による芦北郡への勢力拡大があり、永禄2年には肥後守護菊池為邦により相良氏による芦北郡の領有が認められた。天正9年には島津義久が水俣城を攻略し、芦北郡を相良氏から奪い宮原景種を佐敷城主としている。 　南北朝時代から戦国時代に相良・島津氏が領有を争った中世佐敷城が、加藤清正が近世佐敷城と同じ場所にあったのか、佐敷東城や兼丸城を指すのか定かでないが、近年では後者を比定する説が有力のようだ。 　近世佐敷城は、文禄元年に加藤清正に従って朝鮮へ出陣していた城代加藤重次の留守に薩摩の梅北国兼が佐敷城を占拠した「梅北の乱」が起こったが、留守居役達の働きにより鎮圧された。 　慶長5年、関ヶ原で西軍に与した小西・島津氏の所領に挟まれた佐敷城は、島津忠長率いる島津勢に囲まれたが、城代加藤重次は1ヶ月に及ぶ籠城戦を行い城を守りきっている。 　佐敷城は、元和元年の一国一城令により廃城となった。寛永15年に幕府は、島原・天草の乱の戦後処理として古城の調査破城を命じ、加藤忠広が行った破城が不十分として再度佐敷・水俣城の破城が行われいる。その後、細川時代には佐敷は藩内の要地として佐敷御番所が置かれた。

お城へのアクセス
鉄　道：	ＪＲ鹿児島本線佐敷駅〜徒歩約20分(登城口) or タクシー約10分
車　：	南九州道(西回り)苓北ＩＣ〜県道305号線
駐車場：	佐敷城の無料駐車場を利用

ひとくち ＭＥＭＯ

山頂には破却された石垣が累々と残るお城。

佐敷城の縄張図（現地案内板より）

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